六つの景勝を兼ねる兼六園の歴史と由来

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兼六園の命名からもうすぐ200年

兼六園の見どころ vol.2

2015年3月の北陸新幹線の開業以来、観光で訪れる方が増えている兼六園。この庭園が兼六園と名付けられたのは1822年(文政5年)のことです。

ちなみに、ひがし茶屋街が加賀藩から公許されたのは1820年(文政3年)です。現代の金沢観光のツートップとなった兼六園とひがし茶屋街は、ほぼ同じ頃に産声をあげました。

具体的な命名者ははっきりとしませんが、奥州平泉藩主で幕府の老中を務めた松平定信が同年に金沢を訪れた際に、12代藩主・前田斉広(なりなが)からの依頼を受けて、庭園の門に掲げる扁額に『兼六園』と記したという記録が残っています。

眺望台からひがし茶屋街方向を臨む

兼六園という名前は、宏大、幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望という、庭園に必要な6つの景勝を兼ね備えているという意味で名付けられました。

宏大(こうだい)……広々としている
幽邃(ゆうすい)……奥ゆかしく静かである
人力(じんりょく)…人の手が加わっている
蒼古(そうこ)………古びた趣きがある
水泉(すいせん)……水辺がある
眺望(ちょうぼう)…見晴らしがよい

広々としている場所(宏大)においては静かな奥ゆかしさ(幽邃)はないものですし、人の手が加わったもの(人力)からは古びた趣き(蒼古)は伝わってきません。

また、池や小川などの水辺(水泉)は低いところにありますから、遠くを見渡すこと(眺望)に不向きです。

兼六園は、本来であれば両立しえない6つの景勝を兼ね備えていることで、日本三名園のひとつに数えられるようになりました。

黄門橋付近の木々からは蒼古の雰囲気が漂っています

兼六園が3分でわかる画像集

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兼六園は蓮池庭と千歳台に分けられます

小立野台地の先端に位置している兼六園では、平地に位置する桂坂口、蓮池門口、真弓坂口の3つの料金所から入園すると小立野台地へと上って行く傾斜地があり、傾斜地を上り切ると小立野台地の広大な敷地に出ます。

兼六園には2つの顔があります。ひとつは「蓮池庭(れんちてい)」と呼ばれる1600年代に作庭された傾斜地エリアで、もうひとつは1800年代に作庭された「千歳台(ちとせだい)」と呼ばれる宏大な日本庭園のエリアです。

ことじ灯籠で有名な霞ヶ池は千歳台エリアにあたります。

人力によって造られた庭園美(霞ヶ池)

兼六園の見どころ vol.6
宏大な千歳台の眺めは「ザ・兼六園」


蓮池庭は金沢城の防御の砦

傾斜地エリアの蓮池庭は、5代藩主・前田綱紀によって1600年代に作庭されました。傾斜地には木々が鬱蒼と生い茂り、静寂の中に瓢池へと流れ落ちる滝の音が響き、“幽邃” と “蒼古” の趣きを漂わせています。

実は、蓮池庭は金沢城を守る砦として作庭されました。

1600年代の前田家は、まだまだ徳川家から警戒される存在で、誰が見ても明らかな「砦」を作ることができなかったことから、樹々を植え、池を掘り、茶室を作って客人をもてなすことで、庭園を楽しむ風流な加賀藩主を演じたのです。

兼六園の見どころ vol.8
常磐ヶ岡は藩政期から残る自然の雑木林


本格的な庭園美を追求した千歳台

一方の千歳台エリアは、1800年代に13代藩主・前田斉泰によって作庭されました。

霞ヶ池という大きな池があり、小立野台地の辰巳用水から引き込まれた水が、大きく蛇行しながら「曲水」となって霞ヶ池に注ぎ込まれています。

曲水には、上流から木橋、花見橋、板橋、千歳橋、雪見橋、雁行橋、月見橋、虹橋といった風情を感じる名前の橋が架かり、両岸には桜並木が続き、水辺にはカキツバタが植えられています。そして、松の木が存在感を示しています。

また、千歳台では松、桜、梅などの木々とともに、サツキ、ツツジ、スイレン、サザンカなどの季節の花々が、人々の目を楽しませてくれます。

宏大な千歳台の曲水を彩るカキツバタ(花見橋付近)

兼六園の見どころ vol.5
曲水が彩る兼六園の水辺は日本最古の噴水へ


小立野台地に位置する千歳台は、“宏大” な敷地に “人力” が加えられ見事な庭園美を見せてくれています。

また、霞ヶ池を拡張する際に掘った土を盛って造られた栄螺山(さざえやま)からは、霞ヶ池と金沢の山なみを見渡すことができます。

栄螺山から眺める霞ヶ池

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欧米からの旅行者は神秘性がお気に入り

傾斜地の蓮池庭エリアと、広大な平地の千歳台エリアからなる兼六園。

地元の人たちの多くが、薄暗く狭い蓮池庭よりも、明るく広々としている千歳台を好んでいます。また、日本人観光客の人たちも千歳台エリアの方が見学者数が多いように思えます。

近年は海外から訪れる人が増えてきました。

外国人旅行者の反応を見ていると、中国語を話す人たちは日本人と同じように高台の開放的なエリアを好むようです。一方で、欧米系の人たちは幽邃を漂わせる瓢池周辺の風景に、日本的な神秘性を感じているように見えます。

瓢池は幽邃と呼ぶにふさわしい景観です

NEXT – 瓢池は神秘的な雰囲気を醸し出す幽邃の池

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