seisonkaku

Kenrokuen*11
(Seisonkaku)

加賀藩主・前田家の集大成とも言える御殿

日本三名園のひとつとして知られる兼六園は、金沢城を居城とした藩主・前田家の庭でしたが、時代とともに庭園の敷地が拡げられていきました。

そして、幕末の頃には兼六園の端に御殿が造られました。それが国の重要文化財に指定されている成巽閣(せいそんかく)です。

成巽閣は1863年(文久3年)に建設された御殿で、13代藩主の前田斉泰が、自らの母親で12代藩主・前田斉広の奥方であった眞龍院の住まいとして造営した建物です。

眞龍院の実家の御殿が「辰巳殿」と呼ばれていたことと、この御殿が金沢城の辰巳の方角に位置していたことなどから、建築当初は「巽御殿」と呼ばれていました。その後、1874年(明治7年)に斉泰が「成巽閣」と改め今日に至っています。

建物は2階建ての和風建築で、1階には来客との面会が行なわれた「謁見の間」をはじめ、寝室であった「亀の間」、居間として使用されていた「蝶の間」など、「○○間」と名の付くお部屋が8室あります。

また、「鮎の廊下」「貝の廊下」「つくしの廊下」「万年青の廊下」の4つの廊下が設けられています。

つくしの縁庭園

つくしの縁庭園

それぞれのお部屋と廊下に付けられている微笑ましい名前を見ると、この家屋が女性の住まいであったことが伺えます。

興味深いのは、障子の下の部分である腰板に「亀」や「蝶」などの部屋の名称に応じた絵が描かれていることです。そして、床の間に近い障子から「亀」や「蝶」の数が増えていきます。これは全ての障子を取り外した時に、元の位置に戻せるように工夫されているものです。

成巽閣では建物の内部を見学できるとともに、1階では季節に合わせた企画展が行なわれており、「夏衣装」「冬衣装」をはじめとする調度品や、前田家に受け継がれてきた「雛人形」や「御所人形」などが一般公開されています。

建物の2階には小さめのお部屋が7室設けられています。2階は読書などの余暇で使用された空間のようで、群青や紫などの色彩がふんだんに盛り込まれている他、室内から外の様子をうかがうことができる「雪見障子」も見られます。

つくしの縁庭園に置かれている「つくばい」

つくしの縁庭園に置かれている「つくばい」

成巽閣の見どころの一つは日本庭園

兼六園に隣接している成巽閣では綺麗な日本庭園も見どころのひとつです。邸内には「つくしの縁庭園」と「万年青の縁庭園」の2つの庭園があります。いずれの庭園も辰巳用水から引かれた小川に灯籠が置かれ、松の木が日本的な曲線美を演出しています。

成巽閣の庭園の縁側には毛氈が敷かれており、縁側に腰を下ろしてゆっくりと庭園を眺めることができます。

余談ですが、私が成巽閣を訪れた時には、2人のフランス人女性が縁側に座って、かなり長い時間にわたって庭園を眺めていました。ヨーロッパの人は贅沢なまでに時間をゆったりと使いますよね。

縁側には鴬張りが施されており、キュッキュッという音が心地よく聞こえてきます。本来はセキュリティ上の観点から施される鴬張りですが、奥方が暮らした御殿では風情を醸し出すために施されているようにも思えてきます。

万年青の縁庭園

万年青の縁庭園

幕末の動乱期でも御殿を建てる余裕があった加賀藩

前述のとおり、成巽閣が建てられたのは明治維新の直前の1863年です。

歴史を紐解くと、1859年(安政6年)のペリーの浦賀来航以来、幕府は上に下への大騒ぎだったと社会の授業で教わった記憶がありますが、そのような幕末の激動期にあっても、金沢では華やかな御殿を建てるだけの金銭的、精神的余裕があったということです。

私の子供の頃は、日本海側の地方は“裏日本”と呼ばれていましたが、裏側にいると表側の喧騒が伝わって来なかったのかもしれませんね。

兼六園からの直通の出入口

兼六園からの直通の出入口

さて、成巽閣への入館料は、企画展では一般・大学生が700円、中高生が300円、小学生が250円で、特別展では一般・大学生が1,000円、中高生が400円、小学生が300円です。また、成巽閣には兼六園からの直通の入場口があります。

開館時間は午前9時から午後5時(入館は午後4時30分)で、休館日は毎週水曜日(水曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始、展示替えの期間です。

なお、写真撮影については庭園の撮影は許可されていますが、室内の撮影は全面的に禁止されています。

兼六園から入ると家屋の縁側が入口です

兼六園から入ると家屋の縁側が入口です

兼六園への行き方

成巽閣ホームページ



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