兼六園の冬の風物詩として全国的に知られるのが、雪から松の枝を守る雪吊りです。中でも、園内で随一の枝っぷりを誇る唐崎松 (からさきのまつ) への雪吊りの装着は、季節の話題として全国ニュースでもたびたび紹介されます。
例年ですと、11月1日に唐崎松から雪吊りが施されるのですが、今年は、1日(土)が作業員の安全を確保できないほどの悪天候に見舞われ、2日~3日が連休だったことから、4日の月曜日に作業が行われました。
兼六園の雪吊り作業は12月中旬まで行なわれ、109本の松の木をはじめ、ツツジなど約800本の樹木に雪吊りが施されます。

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松が4本あるように見えて実は1本
唐崎松は、加賀藩・13代藩主の前田斉泰 (なりやす) が、現在の滋賀県の唐崎から取り寄せた松で、鶴が羽を広げた姿をイメージしています。私は県外のお客様を兼六園にご案内することがありますが、多くの方が横に長く伸びる枝に驚かれます。
この唐崎松の雪吊りは、5本の芯柱が立ち、芯柱から延びる約800本の縄を枝に結んで作られています。
正面からですと4本の雪吊りが見えますので、兼六園にお越しになったことのない方は、松の木が4本あるのかと思われるのですが、実は松の木は1本だけです。1本の松に5本の雪吊りが装着されています。

最初に付けられて最後に外されます
今年は悪天候によって、唐崎松よりも先に低い木から雪吊りの装着作業が始まりましたが、例年ですと、11月1日に唐崎松から雪吊りが施されます。
金沢では11月中に雪が降ることはまずないのですが、全体の作業が12月中旬まで続くことから作業開始日を11月1日としています。また、唐崎松が一番の撮影スポットであることから、観光客の方に向けて唐崎松が最初になっているのでしょう。
ちなみに、雪吊りは3月の中旬から外されていきますが、最後に外されるのも唐崎松です。例年ですと、春分の日の次の日に外されます。そして、唐崎松の雪吊りが外されると、兼六園はお花見の準備に入ります。

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雪吊りは落葉しない木に装着
雪に縁のない地域にお住まいの方の中には、兼六園の雪吊りは年中装着されていると思われている方もいらっしゃるようですが、雪から松の木を守るために装着されるものですので、雪吊りが見られるのは冬の時期だけになります。
すべての木に装着されるわけではありません。例えば、桜のような落葉樹ですと、枝に雪が積もっても滅多に折れないことから装着されません。一方、葉の落ちない松の場合は、北陸特有の大粒の雪がこんもりと積もると枝が折れてしまうのです。
松の木に限りますと、兼六園に約200本ある松の中で、雪吊りが施されるのは約半数の109本です。背が高く、枝の短いスマートな松には装着されません。雪吊りが施されるのは、枝が横に伸びている松になります。

作業風景は欧米の方の被写体に
私は唐崎松に雪吊りが施されていく作業を見たことがありますが、親方が高い芯柱に上っていく姿は感動ものです。芯柱を揺らしながら上まで辿り着くと見物している人たちから「おーっ」という嘆声が出で拍手が起こります。
雪吊り作業を最も興味深く見学しているのは欧米からのお客様です。特に、男性の方は食い入るように見つめています。手作業で装着していく姿に日本的なものを感じるのかもしれませんね。

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11月は金沢の庭師さんは大忙し
10月27日に石川県の金沢城・兼六園管理事務所が出したプレスリリースによると、兼六園の雪吊り作業は、兼六園専属の庭師の方7名と、委託された造園業者6名で行われているとのことです。
合計で13名という少人数で約800本の木に雪吊りを施すのですから、12月中旬まで作業が続くのも頷けます。
雪吊り作業が行なわれるのは兼六園だけではありません。金沢駅前の松をはじめ、民家の庭に植えられている松や道端に植えられたツツジなど、金沢中の樹木に雪吊りが施されます。11月と12月は、金沢の庭師さんは大忙しです。

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