2025年4月18日付の北國新聞に、2027年5月~2028年3月の11か月にわたって休館する金沢21世紀美術館が、長期休館中に、21美の所蔵作品を街中で出張展示するという記事が掲載されていました。
記事によると、4月1日付で5代目館長に就任した鷲田めるろ氏が北國新聞のインタビューで明らかにしたもので、21美の周辺施設や商店街に協力を求め、金沢市と協議して今年秋をめどに規模や方向性をまとめたいとしています。
また、鷲田館長は所蔵作品の出張先を掲載したマップ作成も考えており、休館をまちに出掛けていくチャンスと捉えたいとコメントしていました。

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金沢の市民エリアがアート広場に
2年後の金沢21世紀美術館の長期休館では、経年劣化した屋根や外壁の修繕、設備の更新などが行われます。鷲田氏は「休館まで2年だが、予算編成を考えると時間はあまりない。急いで方向性を考えたい」と語りました。
鷲田氏は、金沢のまちなかには作品を展示できる施設が点在している。作品を置かせてもらえれば、新しい出会いにつながると強調。展示先の規模や雰囲気に合わせた作品選定、創作企画に取り組むとのことです。
展示先の候補は、国立工芸館や石川県立美術館、谷口吉郎・吉生記念金沢建築館などの文化施設の他、地元商店街も挙げました。
鷲田氏は、芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」のキュレーター時代に商店街を展示会場としました。そのことから「文化施設には、街に賑わいと経済効果を生み出す役割がある。商店街の関係者と話し合っていきたい」と意欲を示していました。

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館長のお名前はまさに現代アート
21美の5代目館長に就任した鷲田めるろ氏は、東大大学院の美術史学専門分野博士課程を修了。1999年に25歳で21美の建設事務局学芸員に採用され、2004年のオープンから2018年に退職するまでは21美のキュレーターを務めていました。
その後、あいちトリエンナーレ2019キュレーター、青森県十和田市現代美術館の館長を経て金沢に戻ってきました。失礼ながら「鷲田めるろ」というお名前そのものが現代アートです。21美の館長として、これほど相応しいお名前はないですよね。

25歳で直面した閉鎖的な金沢
鷲田氏が21美に採用された1999年当時は、新しくできる美術館が、多くの人が想像していた絵画や伝統工芸を展示する美術館ではなく、金沢市民に馴染みのない現代アートの美術館ということで、新美術館への風当たりが強まっていた頃です。
鷲田氏は当時25歳。wikipediaによると、大学院卒業後に世田谷美術館での1年間の勤務を経て21美に採用されたとのこと。金沢は元々が閉鎖的な街です。四面楚歌とも言える環境の中で、職場の年上の人たちの苦労を目にしたことでしょう。
そして、当時25歳の鷲田氏も、金沢の上流階級の人たちが保持してきたプライドの壁を感じることがあったかと思います。
その逆境の中でも辞めずに頑張ってきて、21美の館長として金沢に戻ってきた時に、地元の人たちから「お帰りなさい」と言ってもらえるまでになったのですから、私は新館長の手腕に大いに期待しています。

金沢の“こぼれ話”もたっぷり!
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まちなか展示の作品を恒久展示に
私は、金沢21世紀美術館から出張する所蔵作品の中で、展示場所の雰囲気とマッチする作品があれば、その場所で恒久展示をすれば良いのにと思っています。
21美の公式サイトによると、2024年秋の時点で約4,200の作品を所蔵しています。所蔵作品は21美で開催される「コレクション展」のテーマに沿って公開されるのですが、当然のことながら、保管庫に眠っている作品が圧倒的に多数です。
コレクション展でお披露目される作品の中には、この展覧会が終わったら何年も見られないのだな、と思ってしまう楽しい作品があります。21美に展示スペースがないのでしたら、街中で恒久展示をすれば良いじゃないですか。
現代的な街並みになっている金沢の市民エリアを、21美の所蔵作品で埋めるのです。加賀百万石の城下町は、21美を中心とした現代アートの街でもあるのですから。

2回で終了した国際コンペ
金沢21世紀美術館がオープンした2004年当時、金沢市では、金沢駅から21美までの道にオブジェを並べようという構想がありました。そして、2004年と2006年に国際コンペを実施し、その時の優秀作品7点が金沢の目抜き通りに展示されています。
しかし、当時は金沢市民の間に現代アートへの理解が広まっておらず、街中に変なものを置くなというクレームが多かったことから、2度実施した時点で終了してしまいました。
21美が日本でも有数の人気美術館に成長した今こそ、街中をオブジェで彩るというオープン当時の構想を、改めて進めても良いのではないかと思います。

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