2024年10月18日付の北國新聞に、金沢21世紀美術館を代表する作品「スイミング・プール」の作者・レアンドロ・エルリッヒ氏が21美を訪れたという記事が掲載されていました。
「金沢でたくさんの人に作品を育ててもらった」と語るエルリッヒ氏は、自身の作品が人気スポットとなっていることに「驚いた。愛されていてうれしいし、素晴らしい」と喜び「ここは特別な地だ」と金沢への深い思い入れを語りました。
大勢の来場者で賑わうプールを見たエルリッヒ氏は「プールと美術館が融合しながら世界観が出来上がっている」と述べたとのこと。スイミング・プールは21美の建設に合わせて作られた作品で、2004年の開館当初から展示されています。
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21美の1番人気作品「スイミング・プール」
北國新聞の記事によると、エルリッヒ氏は当時無名だった自分の作品が初めて常設展示されたことを振り返り「関係者が信念をもって尽力してくれたおかげだ」と話しました。
また、21美の長谷川祐子館長とのトークショーで、エルリッヒ氏は完成したプールを初めて見た時を思い返し「不可能と思っていたことが実現に至り、感慨深かった」と当時を懐かしみました。
今後の創作活動について質問を受けると、森を題材にした最新作を岡山で公開したと紹介。「自然は遠く離れた存在ではなく、自分自身が自然の一部。身近な建築物や空間から自然につながるコンセプトの作品になると思う」と話しました。
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ブエノスアイレスに在住
レアンドロ・エルリッヒ氏は1973年生まれの51歳で、アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスの出身。現在も同市に在住です。
金沢21世紀美術館のシンボルとなっている「スイミング・プール」は、ヴェネチア・ビエンナーレなどの国際美術展覧会で仮設展示されていた作品を21美が購入し、2004年のオープン時から恒久展示作品としてお披露目されています。
金沢21世紀美術館では、スイミング・プール以外にも「タレルの部屋」「緑の橋」「雲を測る男」「カブーアの世界」といった館内にある恒久展示作品が、建設段階から設計図に組み込まれていました。
つい最近までは「レアンドロのプール」
スイミング・プールは、21美のオープン当時から2015年3月の北陸新幹線の開業後しばらくは、正式な作品名ではなく「レアンドロのプール」という愛称で呼ばれていました。
おそらく、市民に親しまれるようにとの意図で愛称が付けられたのだと思います。他の恒久展示作品では、ブルー・プラネット・スカイに「タレルの部屋」、L'Origine du mondeに「カブーアの世界」という愛称が付けられています。
レアンドロのプールについては、テレビの全国ネットで紹介される際に正式名称の「スイミング・プール」で紹介されることと、スイミング・プールという英語が日本人にも親しみやすいことから、今では館内の案内は正式名称です。
とは言え、地元では「スイミング・プール」よりも「レアンドロのプール」の方が馴染みがあります。
金沢は都市型テーマパーク!
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無名の作家を選んだ着眼点
20年以上前に当時の無名アーティストの作品「スイミング・プール」を見つけ出したこともそうですが、21美を設計した建築家ユニットSANAAの妹島和世さんと西沢立衛さんも、設計コンペの当時は全国的に無名だったと聞きます。
私は、金沢21世紀美術館の功績は無名の才能ある若者を世に送り出したことだと考えています。
レアンドロ・エルリッヒさんは、今では世界中から依頼が舞い込む人気アーティストになりました。エルリッヒという名前は知らなくても、あの21世紀美術館のプールを作った人だと聞けば、現代アートファン以外の人でも認識できます。
また、SANAAのお二人は、今では日本の建築界の大御所です。次の若い才能の出現に期待しましょう。
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