2024年10月9日。金沢21世紀美術館がオープンから20周年を迎えました。
開業当初は、金沢の美術界の人たちから「21世紀美術館はガラクタを買っている」「街の真ん中にUFOみたいな変なものを作るな」と酷評された施設が、金沢を代表する観光スポットとなり、国内有数の人気美術館へと成長しました。
私は、2004年のオープン当時は東京在住でしたので当時のことは知らないのですが、今の金沢の人たちは、城下町にできた新しい文化施設が全国の人たちから注目されていることを、誇りに思っているように感じます。
ちなみに、2024年9月末までの累計の入館者数は3,435万5,935人でした。
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市内にギャラリーが増えました
北國新聞によると、21美の入館者数は2015年3月の北陸新幹線開業後に急増し、2015~19年度は230万人を超えました。2020年度はコロナ禍で80万人台まで落ち込みましたが、2023年度は197万人まで回復しました。
オープン当時は238点だった所蔵作品数が4,168点になりました。34億円をかけて642点の作品を購入した他、3,526点の寄付がありました。
また、街中のギャラリーの数も増加しました。金沢21世紀美術館の長谷川祐子館長によると、美術や工芸などのギャラリーがこの20年間で44の施設がオープンし、現在も38施設が営業を続けているとのことです。
現代アートとは「作品+人」
朝日新聞によると、東京の綜合ユニコムがまとめた国内ミュージアムの来館者ランキングで、21美は2019年度からの4年間で3位、1位、2位、2位にランクされ、国立科学博物館、東京国立博物館、国立新美術館とともにトップ3の常連です。
興味深いのは、学芸課長として開館に関わった長谷川館長の「21世紀とは何かという時の考え方の一つが、双方向性や参加型だった。お客さん自身も作品を成立させる一部になるという考え方があった」とのコメントです。
現代アートとは作品だけでは未完成です。現代アートとは作品に人が融合することで完成します。だからこそ、21美では作品の撮影がokなのです。
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金沢21世紀美術館のジレンマ
私は金沢21世紀美術館で働く人たちには、2つの大きなジレンマがあるのではないかと考えています。ジレンマのひとつは「美術館」という理想と「アート広場」という現実です。
金沢21世紀美術館は「美術館」と名付けられていますが、実態は「アート広場」です。21美を訪れる人で、今、何の展覧会をやっているのか知っている人は極めて少数です。人々はここが楽しい場所だから集まってくるのです。
私は、金沢21世紀美術館の成功の要因は、美術館という空間を「アート広場」にしたことだと思っています。
楽しそうに仕事をしませんか
一般的な美術館では、展示室でおしゃべりをしていると注意されます。そして、来館者は無言で作品の前に立ち、あたかも美術評論家のように頷いています。一方、21美の展示室では来館者の笑顔が弾けています。おしゃべりも撮影もokです。
ただ、金沢21世紀美術館にはウイークポイントがあります。それは、とても楽しい施設なのに、21美で働く人だけは面白くないのです。どういうことかと言いますと、21美で働く人たちは、笑顔のない、お堅い美術館の職員だからです。
近頃は来館者と会話をする係員も見られるようになりましたが、まだまだ笑顔が足りません。せっかく楽しい施設で働いているのですから、もっと楽しそうに仕事をしませんか。
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市民の施設か観光スポットか
もうひとつのジレンマは「市民のための21美」と「観光スポットの21美」です。金沢21世紀美術館は観光スポットとして作られた施設ではありません。あくまでも、金沢の人に現代アートに親しんでもらうために作られた施設です。
21美では高校生以下は入館無料です。若い人たちに、現代アートに触れることによって感性を磨いてほしいからです。さらに言いますと、コレクション展への一般の入場料が450円と低料金なのも、市民のための施設だからです。
ご存じの方も多いかと思いますが、21美は毎週月曜日が休館日です。これも、元々が地元の人向けの施設ということで、普通に休館日があるのです。
観光スポットで良いじゃないですか
私は、金沢21世紀美術館は、施設を管轄する金沢市のオープン当初の思惑はそれとして、現実には金沢で有数の観光スポットとなっているのですから、もっと観光で訪れる人のことを考えてあげても良いのにと思っています。
2023年の春休み期間中に、21美では「スイミング・プール」地下部をメンテナンスのため閉鎖しました。当然のことですが、SNSでは、プールを楽しみに訪れた観光客の人たちからのブーイングが渦巻いていました。
これが観光施設であれば、春休みに1番人気の作品を閉鎖することはしないでしょう。
訪れる人によって現代アートへの関心度に差があっても、21美を訪れてくれたのは事実なのですから、観光客への利便性を考慮してあげても良いのではないでしょうか。観光で訪れる人は一生で一度の21美かもしれないのですから。
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