21世紀美術館が長期休館。でも金沢には図書館がある

昨日(2月26日)の石川県の地元メディアで報じられた大きなニュースは、金沢21世紀美術館の長期休館でした。休館すると言っても直近ではなく、2年後の2027年5月から2028年3月までになりそうとのことです。

近々に金沢を訪れる人はドキッとされたかもしれませんね。えっ！と思って記事を読んで「2年後か、良かった」と安心された方もいるのではないでしょうか。おそらく、海外の旅行会社への周知のために早めに公表したのでしょう。

地元の新聞とテレビでは、21美が長期休館になって金沢の観光は大丈夫!?という論調が多いのですが、金沢は大丈夫です。多少は観光客が減るかもしれませんが、21美だけに頼っていたわけではありませんから、私は心配していません。

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長期休館は仕方のないこと

金沢21世紀美術館の長期休館のニュースがインターネットで流れたのは2月25日の夜でした。

私はYahooニュースのコメント欄を注意して見ていたのですが、ニュースが流れた直後は、オープンから20年で大規模改修って工事が雑だったんじゃないの、というようなネガティブなコメントが目立ちました。

21美は石川県外の人に誤解されているのかなと思っていましたら、徐々に建設業界や美術業界にお勤めの方から「20年での大規模改修は当然のこと」と言うようなポジティブなコメントが多く寄せられるようになりました。

私もポジティブな意見です。長期休館はどこかで実施しなければならないことです。5年ほど前の北國新聞に、当初は年間来館者数30万人を想定していた21美に年間230万人が訪れたので、傷みのスピードが速いのだと解説されていました。

金沢21世紀美術館は、元々が観光スポットとして誕生したわけではなく、地元の人たちに現代アートに触れてもらうことを趣旨として建設されましたので、オープン前は、観光客の数はあまり考慮していなかったのかもしれませんね。

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金沢21世紀美術館は「美術館」という名称が付いていますが、実際は「アート広場」の雰囲気です。館内には人々の笑顔が溢れています。来館者の大多数は、今、何の展覧会をやっているのかを知りません。楽しいから集まってくるのです。

21美の功績は、無名の若い人たちを世に送り出したことです。まずは設計者が無名の人でした。1999年のコンペで起用されたのは、当時40代前半の妹島和世さんと、30代前半だった西沢立衛さんのユニット「SANAA」でした。

オープン直後は、金沢の美術界の人から「有名な建築家なら、もっと良いものができた」と酷評されたらしいのですが、SANAAのお二人は、建築界のノーベル賞「プリツカー賞」を受賞するなど、今では日本の設計業界の大御所になりました。

金沢21世紀美術館と言えば、水の下に人がいる「スイミング・プール」を思い浮かべる人も多いと思います。この作品の作者であるレアンドロ・エルリッヒ氏も、21美に採用された当時は無名のアーティストでした。

昨年10月の開館20周年イベントで21美を再訪したエルリッヒ氏は、私は金沢に育ててもらったとのコメントを残しています。

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今の金沢にとって、金沢21世紀美術館はスペアの利かない大切な施設ですが、何とかなります。金沢では、元々が石川県民のために建設された施設が、新たな観光スポットとなりつつあります。その施設とは石川県立図書館です。

図書館の概念を打ち破るような斬新な内装で、金沢に旅行された方のSNSを見ると、日に日に投稿頻度が高まっています。ちなみに、石川県立図書館は、全国の都道府県立の図書館で唯一、年間の来館者数が100万人を超えています。

石川県立図書館とは別に、金沢には「世界の魅力的な図書館ベスト20」に選ばれた図書館があります。それが金沢海みらい図書館です。北陸新幹線の開業からしばらくは、この図書館がSNSにちょくちょく出てきたものです。

しかしながら、現地までの交通の便が悪く、周辺にメジャーな観光スポットがないことから、次第にSNSで見かけなくなっていきました。

さらに、近江町市場の近くには金沢市立玉川図書館があります。この図書館は、鈴木大拙館を設計した谷口吉生氏の設計によるもので、1979年にオープンした当時は、地元では斬新な外観が大いに話題になりました。

玉川図書館は、今年の7月から1年半の長期休館に入り、21美の休館に間に合わせるように、2027年1月からリニューアルオープンされます。21美が長期休館している間は、図書館に頑張ってもらいたいものです。

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