2017.12.11掲載
金沢21世紀美術館(通称:21美)の人気オブジェのひとつが、ラッパの形で知られる「アリーナのためのクラントフェルト・ナンバー3」です。
この作品は、円形の建物を取り囲むように12体のラッパのオブジェが置かれているもので、どれかがどれかと地中で繋がっており、糸電話のように遠くにいる人同士で会話をすることができます。
建物の周りでは、ラッパのベル(別名:朝顔)と呼ばれる音が出てくる部分に、頭を突っ込んでいる来場者の姿が至る所で見られます。
また、繋がっているラッパ同士は、必ず見える範囲に設置されていることから、ラッパから音が聞えてくると「どのラッパと繋がっているのだろう」と周囲を見回す姿も見られます。
見知らぬ者同士が少しだけ触れ合うオブジェ
知らない者同士が、遠く離れた場所で手を振り合って、そのまま各々の方向へと別れていく。ラッパを通じて簡単な会話を交わした者同士の、人生の中でのほんの少しの時間だけの触れ合い。
そのようなロマンチックな感傷に浸ることもできるオブジェです。12体ある「アリーナのためのクランクフェルト・ナンバー3」ですが、2017年12月11日現在、4体のラッパが撤去されています。
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芝生の張替えのための処置かも
4体のラッパの撤去理由を推測すると、芝生の張替えのための処置なのかもしれません。
当サイトでは、2017年7月17日付で「金沢21世紀美術館の周囲で芝生を張り替え」という記事を掲載しました。
その内容は、21美のまあるい建物の周囲に敷かれている芝生が剥がれ、美術館の周囲の景観が損なわれていることを受けて、2017年末から、来館者への影響が比較的少ない冬に、芝枯れした場所の土を取り除き、春に新しい芝生を張るというものです。
冬の間に旅行で21美を訪れる方にとっては、少しだけ楽しさが減ってしまいますが、市民に広かれた憩いの場の創出をコンセプトに開館した美術館ということを考慮すると、致し方ないように思えます。
さて、ラッパの形をした「アリーナのためのクランクフェルト・ナンバー3」は、兼六園側に3体、金沢市役所側に9体が設置されています。
今回撤去されたのは、兼六園側の3体と、市役所側の1体です。
12体のラッパはどれかがどれかと繋がっていますので、6つのペアができます。そして、見える範囲に設置されているラッパと繋がっています。
6つのペアのうちの5つまでは、グルリと見渡すと、すぐにどのラッパの人と話しをしているのか分かるのですが、1組だけ普通に見渡しても分からないペアリングがあります。
それが、兼六園側の1体と市役所側の1体です。実はこのペアは館内の通路越しに、相手側のラッパが見えるようにレイアウトされています。
6つのペアの中でも、最も面白いペアリングが一時撤去されたのはとても残念です。
しかし、芝生の張替えが行なわれない市役所側のエリアから、通路を挟んで兼六園側と繋がっている1体もきちんと撤去するところに21美のこだわりを感じますね。
全てのラッパがもう一度揃う2018年の春を待ちましょう。
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