2025年12月18日付の北國新聞に、ひがし茶屋街に新しいお茶屋が開業するという記事が掲載されていました。
お茶屋の名前は「水志満」(みずしま) で、ひがしのお茶屋「八しげ」に籍を置いていた芸妓のかつ代さんが独立開業します。オープンは来年の1月5日で、ひがし茶屋街で13年ぶりの新しいお茶屋の開業となります。

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女将は2010年のお披露目
北國新聞の記事によると、金沢市出身のかつ代さんは、短大への通学路だった茶屋街の雰囲気に魅力を感じ、卒業後の2010年に芸妓の道に入りました。自身を育ててくれた先代女将 (故人) のようになりたいと目標にしてきました。
近年は芸妓の減少や女将の高齢化などで廃業が続き、お茶屋の数はかつ代さんが入った頃から半数に減っており、「自分なりに街に恩返しができないか」と独立を決意しました。
ひがし茶屋街のお茶屋は5軒に
お茶屋名の「水志満」は、川に囲まれ、雨が似合う金沢のしっとりとした街の雰囲気を表し、志を遂げるという思いを込めました。水志満が加わり、ひがし茶屋街のお茶屋は5軒になります。
お店は観光客が行きかう表通りで長年空き家となっていた建物を改装しました。2階のお座敷はかつて茶屋として使われていた頃の趣きが残っており、内装には柿渋などを使って落ち着いた空間としました。また、1階にはカウンターも設けました。
かつ代さんは、今後は若い芸妓を育てることも考えています。北國新聞の取材に対し「学生の頃に見た茶屋街の景色を今の若い人に見せたい。茶屋文化に興味を持ってもらえると嬉しい」とコメントしていました、

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ひがしでは最高の立地です
ひがし茶屋街を良くご存じの方でしたらイメージできると思いますが、新しくオープンする水志満は、かつ代さんが所属していた「八しげ」とはちょうど対角線上に位置しています。
東山木町通りからひがし茶屋街の入口である広見に入り、柳の木から一直線に伸びる二番丁 (メインストリート) の右側の2軒目の建物が水志満です。言われてみれば、確かに長い間空き家になっていました。
女性の年齢を計算するのは失礼ですが、かつ代さんはまだ30代なのですね。ぜひ若さと行動力で頑張ってほしいものです。

お茶屋の名前がすべて漢字
ひがし茶屋街では、この10年の間にも藤とし、山とみ、春の家と次々に廃業していきました。女将が高齢になって廃業したお店もあれば、若くして先代から女将を受け継いだものの、お茶屋の経営に疲れてお店を畳んだお茶屋もあります。
来年早々に「ひがし」のお茶屋は、八しげ、中むら、八の福、藤乃弥、水志満の5軒になります。水志満は「ひがし」で13年ぶりの開業ですが、13年前に開業したのは藤乃弥でした。
お茶屋の名前を見てみると、興味深いのは新しいお茶屋がすべて漢字の茶屋名であることです。別の見方をすると、歴史のあるお茶屋は、廃業した3軒も含めて「ひらがな」が入っています。
一般的には、若い人の方が「ひらがな」を使いそうなものですが、金沢のひがし茶屋街に関しては、若い人ほど茶屋文化の伝統を守ろうという思いが強く、すべて漢字表記としたのかもしれませんね。

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若い女将が支える時代に
私は、個人的には、金沢の茶屋街はここから巻き返していくのではと思っています。なぜなら、金沢の三茶屋街と称される、ひがし、にし、主計町では女将が若返っているからです。古くからのお茶屋でも女将が代替わりしています。
もちろん、高齢の女将を悪く言うことはしません。1980年代からの約30年間、具体的に言うと、上越新幹線の開業から北陸新幹線の金沢延伸までの、金沢が最も苦しかった30年間を支えてくれた人たちなのですから。
しかしながら、時代は移っていくものです。新しい時代にマッチした茶屋街に変わっていくためには、やっぱり若い人の感性が必要ですよね。
一見さんお断りからの脱却を
私は、このサイトでお茶屋関連の記事を記す際に何度も書いてきたことがあります。それは、金沢の茶屋街は「一見さんお断り」から脱するべきだというものです。
金沢の茶屋街では、昼間の時間帯にお座敷体験会を開催していますが、実際にお客が体験したいのは夜のお座敷です。一見さんの最大の問題点が直前のキャンセルなのでしたら、一見さんは前払いにしても良いじゃないですか。
明治から大正時代のように、お金に糸目をつけない大旦那が大勢いるのでしたら一見さんお断りでも良いでしょう。しかし、小旦那しかいなくなった金沢の花街では、一見さんお断りの慣習を続けていては尻すぼみになっていく気がするのです。

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