2025年12月14日付けの北國新聞に、新花さん (新人芸妓) のお披露目の記事が掲載されていました。
今回お披露目されるのは、主計町茶屋街の「み笑」からお座敷デビューする絹夕 (きぬゆう) さんで、石川県内灘町のご出身です。来年の1月27日に芸妓としてお披露目されます。
記事によると、11月から稽古に打ち込む絹夕さんは「伝統をつないでいけるよう、お姉さん方を目標に励みたい」と語っていました。

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30歳でのお座敷デビュー
絹夕さんは現在30歳です。記事によると、金沢市の遊学館高校を卒業後、家事の手伝いをする一方で、漠然と芸妓への憧れを持ち続けていました。今春に客として「み笑」を訪れる機会があり、間近で芸に触れたことで挑戦心に火が付きました。
小学校の頃に和太鼓を習っていた絹夕さん。日本舞踊や三味線、小鼓に触れるのは初めてとのことで、「ずっと三味線をやってみたいと思っていたので、お稽古の時間が楽しい。お姉さん方を尊敬しています」とコメントしていました。
今年の第22回金沢おどりを鑑賞し、総おどり「金沢風雅」の華やかさに目を奪われました。取材に対し絹夕さんは「私も芸を見てもらえるよう稽古を頑張っていきたい」と表情を引き締めたとのことです。
女将の笑弥さんは「頑張った分だけ返ってくる。出し惜しみせず、努力し続けてほしい」とエールを送っていました。

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石川県出身者では3年ぶり
1月にお披露目される絹夕さんは石川県内灘町のご出身です。地元出身の芸妓さんは2022年11月に、ひがし茶屋街の「八しげ」からお披露目された美紅さん以来3年ぶりのことです。
石川県外の方は、絹夕さんの30歳でのお座敷デビューに驚かれたかもしれませんね。京都では、中学を卒業後に15歳で舞妓はんとして花街に入る例が多いのですが、金沢では高校を卒業して20歳前後でお座敷デビューします。
中には一般企業に就職したのだけれども退職し、自分探しの過程を経て、金沢で芸妓という仕事に就いた女性もいます。

ずっと思いを秘めていたのかも
北國新聞の記事を読んで、私は、絹夕さんは、かなり若い頃から芸妓の仕事に憧れていたのではないかと思いました。でも、世間体などの問題もあって、ずっと自分の気持ちを表に出せなかったのかなという感想を持ちました。
私は男性ですが、同じ石川県民としてわかる気がします。金沢では、今も芸妓という職業に対して偏見を抱いている人がいます。特に、コロナ禍の頃には「金沢市が芸妓にだけ補助金を出すのはおかしい」という意見が多く見られました。
30歳という節目で人生の決断をされたのでしたら、ぜひとも頑張ってもらいたいものです。高校卒業からの12年間は決して無駄ではありません。20代での社会経験は必ず花街の世界で生かされるはずです。

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み笑の女将は元ジャズシンガー
絹夕さんがお披露目される主計町茶屋街の「み笑 (みしょう)」の女将・笑弥 (えみや) さんは、絹夕さんと同じく30歳を過ぎてから芸妓になられた方です。
花街に入る以前の笑弥さんは、金沢の映画ファンが集うミニシアター「シネモンド」の支配人を務めていました。支配人時代には地元テレビ局で取り上げられたこともありました。そして、映画館の支配人になる前はジャズシンガーでした。
作家の五木寛之さんが、2008年に「金沢あかり坂」という小説を執筆しましたが、私は、この小説の主人公の凛は、笑弥さんがモデルなのではないかと思っています。

金沢には隠れ芸妓志望者が多いのかも
ひょっとすると、今回の絹夕さんと同じように、金沢には芸妓になりたくても言い出せない「隠れ芸妓志望者」がいるのかもしれませんね。
もし、この仮説が的を当ているのでしたら、金沢市や金沢伝統芸能振興協同組合では、地元の女性限定のお座敷体験会を積極的に開催してはどうでしょうか。参加料はOLさんが払えるくらいの低料金に抑えて気軽に参加できるようにするのです。
笑弥さんと絹夕さんの出会いが、偶然なのか、あるいは金沢の茶屋街を知る誰かが手引きをしてくれたのかは分かりませんが、このご縁が金沢の茶屋街のさらなる発展につながることを願っています。

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