長町武家屋敷跡の見どころ#1
金沢で古くから観光地として整備された長町武家屋敷跡は、今も一般の人たちが普通に日常生活を送っている住宅街です。繁華街の香林坊とは隣町というロケーションにあります。
長町の景観に欠かせないのが大野庄用水です。金沢で最も旧い用水で、金沢の二大河川のひとつである犀川から旧宮腰(現在の金石)の港へと流れます。
天正11年(1583年)の前田利家の金沢城入城からほどなくして開通し、文禄元年(1592年)からはじまった金沢城の改修工事では、宮腰の港で陸揚げされた木材を運搬する水路として用いられました。
大野庄用水は蛇行しながら流れていることが特徴です。用水は人工的に造られますので、目的地まで真っすぐに通せばいいように思えますが、この用水は曲がりくねりながら少しずつお城から離れていくように作られています。
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橋には番号が振られています
大野庄用水に架かる橋は、犀川に近い方から「長町一の橋」「長町二の橋」と番号が振られ「八の橋」まで続きます。
この中で武家屋敷跡のエリアになっているのは「一の橋」から「六の橋」あたりまでで、テレビ番組や旅行ガイドなどで紹介される土塀が続く街並みは「二の橋」から入ったところに見られます。
近年の金沢は海外からの観光客が増えていますが、女性よりもデジタル1眼レフを手にした男性の方が旧い街並みを気に入るようで、水の流れと橋・土塀のコントラストにカメラを向ける外国人男性が多く見られます。
余談ですが、長町は大人数で歩くよりも1人か2人で歩く方が向いている街です。特に高齢のご夫婦がゆっくりと散策している姿には微笑ましさを感じます。
長町武家屋敷跡の見どころ#3
和菓子休憩は長町武家屋敷跡の楽しみの1つ
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長町の町名の由来は?
長町という町名の由来には諸説あります。
大野庄用水沿いに続く長い町域から長町と呼ばれるようになったという説と、加賀藩の年寄(大老)で加賀八家のひとつに数えられる長家の屋敷が近くにあったので、長家の町で長町と呼ばれるようになったという説があります。
現在の金沢では、加賀八家のひとつの本多家の敷地が本多町に、同じく加賀八家・横山家の敷地が横山町になっています。
このことから長町も長家にちなんで名付けられたとする方が分かりやすいのですが、長町の町域が、長家の敷地から微妙に外れていることから、川沿いの長い町なので長町とする説が有力となっています。
藩政期の頃は道がすべて用水でした
長町を流れる大野庄用水は、江戸時代には現在の道路の部分もすべて用水だったそうで、当時は民家へのお届け物は舟で運ばれていました。用水沿いの家では土塀に木戸を作り、舟で運ばれてきた品物を木戸から受け取っていたそうです。
金沢城の築城の際に、大野庄用水で木材を運んだと伝えられていますが、私はずっと「こんなに狭い川幅でよく木材を運べたな」と思っていたのですが、道路の部分もすべて用水だったと聞いて納得しました。
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大野庄用水沿いは資料館が充実
前にも述べたとおり、長町の武家屋敷跡のエリアは「一の橋」から「六の橋」あたりになります。そして、現代的な街並みとなる「一の橋」の先と「六の橋」の手前にはいくつかの資料館があります。
まず、長町一の橋の先にあるのが金沢市老舗記念館と前田土佐守家資料館です。
老舗資料館では昔の商いの店頭が再現されている他、金沢の老舗に受け継がれてきた婚礼道具や花嫁のれんなどが展示されています。観覧料は大人が100円で、高校生以下は無料です。
前田土佐守家資料館では、加賀八家のひとつに数えられる前田土佐守家が所蔵する古文書や武具などが展示されています。入館料は一般が310円、65歳以上が210円で、高校生以下は無料です。
得した気分になる無料の資料館
長町四の橋の袂には旧加賀藩士高田家跡が、長町五の橋から六の橋の間には金沢市足軽資料館があります。いずれもご自由にお入りくださいと案内されている無料の資料館で、旧い家屋や庭園などから藩政期の武士の生活を垣間見ることができます。
また、四の橋と五の橋にある聖霊病院は、キリスト教系の病院として市民に親しまれてきました。私は県外の方をご案内することがありますが、藩政期の景観が残るエリアにキリスト教系の病院があることに驚かれる方もいます。
長町武家屋敷跡の見どころ#5
長町四の橋の高田家跡、ちょっと見ていく?
長町三の橋の休憩館に灰皿が
長町三の橋の袂には旧加賀藩士の野村家の屋敷と庭園が残されています。※このページのトップ写真です。
野村家庭園はミシュランで二つ星を獲得したことがある他、米国の庭園専門誌で日本庭園ランキングの第3位に選ばれたこともあります。入場料は大人550円で、お茶室での抹茶と干菓子のセットが+300円です。
ゆったりとした雰囲気では、思わずタバコに火をつけたくなるのが喫煙者の心理ですよね。長町三の橋にある長町武家屋敷休憩館には灰皿が置かれています。
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