2019年9月27日付の北國新聞に、金沢の三茶屋街のひとつ・主計町茶屋街で新花さんがお披露目されるという記事が掲載されていました。
今回お座敷デビューするのは仙台市出身の中野世菜さん(21歳)で、主計町の仲乃家から11月上旬にお披露目の予定です。源氏名は千寿(ちとせ)に決まり、現在、修行中とのことです。
お披露目は11月。仙台市出身
千寿さんは、これまでバレエや声楽、社交ダンスを習い、高校時代はタカラジェンヌを志しました。東京の短大に進学後も芸事を仕事にしたいとの思いは強く、観光で金沢を訪れた際に芸妓に興味を持ちました。風情ある浅野川沿いの主計町の街並みも気に入りました。
9月に短大を卒業し、本格的な修行に入りました。9月20~23日に石川県立音楽堂で行われた第16回金沢おどりでは裏方として手伝い、三茶屋街の芸妓衆による、艶やかな芸に魅せられたそうです。
千寿さんは北國新聞の取材に対し「お稽古ごとに精進し、お姐さん方のように立っても座っていても綺麗な芸妓さんになりたい」と意欲を示していました。女将のきみ代さんは「体力もあり一生懸命さもある。頑張っていってほしい」と期待を込めたとのことです。
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杜の都・仙台から森の都・金沢へ
今回お披露目される千寿さんは「杜の都」として全国的に知られる仙台から、自らを「森の都」と称している金沢への移住とのことで、金沢で暮らす者としては親しみを感じます。
ご本人が通った短大のある東京や、日本の花柳界の中心に位置する京都ではなく、金沢を選んでいただいたのは嬉しいですね。
冬の厳しさには耐えられるでしょうから、何とか末永く頑張っていただきたいものです。
新花さんが増えたのも新幹線効果
北陸新幹線の開業以降、ひがし、にし、主計町の三茶屋街では新花さんのお披露目が飛躍的に増えました。
新幹線が開通した2015年3月からの4年半の間に、今回の千寿さんを入れて14名の女性さんが金沢でお座敷デビューしました。14名の新花さんの中で石川県出身者は3名だけで、残りの11名の女性は、県外から金沢芸妓の世界に飛び込んできました。
それ以前は4年ほど新花さんが出なくて、金沢の花柳界の衰退が叫ばれていましたので、本当に新幹線効果は絶大です。
残念ながら辞めていく新花さんも
ただ、心配なこともあります。金沢芸妓というサイトには、金沢の三茶屋街に所属する芸妓さんの顔写真が掲載されるのですが、14名の新花さんの中で、既に5名の方のお名前がありません。
残念ながら、石川県出身の3名の方は、皆さん辞められてしまいました。ひがし茶屋街が金沢を代表する人気観光地となる以前は、ご近所で育った子供たちは「廓に近寄っていけないよ」と教えられて育ちました。
もしかすると、世間体が良くないのかもしれませんね。金沢には、芸妓という職業に対する偏見がまだまだ残っているのかもしれません。華やかなに見える花柳界には、若くして、芸の世界から身を引いた女性もいるという現実もあります。
一般社会での転職と同じように、自分自身の可能性を広げるために別の世界で生きていくことを決断したのでしたら、第三者がとやかく言う問題ではありません。また、結婚による芸妓引退ということでしたら、花柳界としては残念ですがおめでたい話しです。
芸妓を辞める理由が、金沢人特有の閉鎖性であったり、現代社会では通用しなくなった花街に古くから伝わる慣習などではないことを願います。
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