2019年8月6日付の北國新聞に、ひがし茶屋街で新花さんがお披露目されるという記事が掲載されていました。
今回お座敷にデビューするのは、ひがし茶屋街の「春の家」からお披露目される「かや乃」さんで、10月3日にお披露目の予定です。
かや乃さん(本名 柳井春花さん/18歳)は、京都の祇園甲部の舞妓さんから金沢芸妓への転身で、北國新聞の取材に対し「芸事を第一に精進し、しっかりと芸を身につけたい」と意欲を示したそうです。
祇園の舞妓から金沢芸妓に転身
千葉県柏市のご出身のかや乃さんは、日本舞踊の師範だった祖母の影響で芸妓に憧れ、中学を卒業後、祇園甲部で1年間の修行を経て舞妓となりました。
京都は踊りを披露する立方と、演奏を担当する地方に分かれるのに対し、金沢は日本舞踊や三味線、太鼓などさまざまな芸を磨けることを知り、今年の4月から、ひがし茶屋街の「春の家」で修業に入りました。
京都で笛も学んでいたかや乃さんは、金沢は素囃子が盛んなことや、京都のお茶屋の女将が金沢の芸を高く評価していたことも金沢を選んだ大きな理由となりました。
ひがし茶屋街、にし茶屋街、主計町茶屋街の三茶屋街が総出演して9月20日~23日に開催される「第16回金沢踊り」では、裏方として舞台を支えます。
紙面には、春の家・女将の江利加さんの「一生懸命に稽古し、お客さま、女将さん方、お姐さん方にかわいがっていただきたい」というコメントが掲載されていました。
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花街から花街へ。花柳界の潮流になるかも
当サイトでは、ひがし・にし・主計町の三茶屋街でお座敷デビューする新花さんについて、ご本人の芸妓を志した動機やプロフィールなどをご紹介しています。
これまでの新花さんは、皆さん花柳界という未知の世界へ飛び込んできた方たちでしたが、この記事でご紹介している「かや乃」さんは、祇園の舞妓さんからの “転職” という初めてのパターンです。
京都には6つの花街があり、かや乃さんが在籍していた祇園甲部は、京都で最大の花街として知られています。
江戸時代から昭和初期にかけての芸妓さんは、生きていくために花街に身をしずめる例が多数派でしたので、花街を変わるなどとは考えもしなかったことと思います。
令和の時代になって、花柳界も、一般社会と同じように自分の希望に合った職場環境を求めて “転職” する時代になったのかもしれません。
私は良いことだと思います。
芸妓さんも人間ですから、その土地の慣例を受け入れることができなかったり、所属したお茶屋の女将と相性が合わないこともあるでしょう。また、環境を変えることで成長する人もいると思います。
その意味では、10月にお披露目されるかや乃さんには注目です。
今回の件で興味深いのは、京都で最大の花街で芸を磨いてきた舞妓さんが金沢での活躍の場として選んだのが、かつて最も高い格式を誇った「ひがし」だったことです。
京都の花柳界の人たちにとっては、金沢の芸処と言えば「ひがし」なのかもしれませんね。
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